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1週遅れになりますが、11月発表の米・経済指標と合わせてマーケットの先行きを予想します。
アメリカの景況感は
失業率を見ると年初より低水準を維持しています。非農業部門の雇用者数については前月一時的に大きく下げていますが、これはハリケーンの影響によるものと思われます。
ISM製造業景況指数、ISM非製造業景況指数ともに50が景気の良い悪いを判断する分岐点。今年は両指標とも50を超える水準を維持しています。
イールドカーブは
2017年11月12日時点での米・10年国債の利回りは2.40%です。
参考:http://stockcharts.com/freecharts/yieldcurve.php
長期債になるほど利回りは上昇します。これは当然のことですが、稀に短期債~長期債に至るまで利回りが均一になる状況が起きます。
参考に2007年のイールドカーブ。この後に株価指数は急落しました。同様に2000年にもこのイールドカーブのフラットになる現象が起きています。
現在のイールドカーブには暴落を示す兆候は見られません。
S&P500指数の推移
今年は時折、下げる局面もありますが、全体としてはゆるやかな上昇基調が継続しています。
米国株式市場のリスクは
- 税制改革
- 北朝鮮情勢
- 12月利上げ
- FRB人事
- 原油価格
特に税制改革については先週、上院での税制改革案、法人税減税に関して2019年からとする案が公表されるとS&P500指数は一時的に1%を超す下落となりました。
税制改革の進捗によりマーケットは一時的に変動する可能性が高まっています。
直近1ヶ月で先行されたセクターは
参考:http://www.sectorspdr.com/sectorspdr/tools/sector-tracker
直近1ヶ月で大きく上昇したのはテクノロジーセクターです。セクターの中で特に上昇が目立ったのはクアルコム(QCOM)、アドビシステムズ(ADBE)、インテル(INTC)、エヌビディア(NVDA)などです。
大型株から小型株までの傾向は
小型株2000(ラッセル2000)指数のチャートと赤線がNYダウ平均株価、緑線がS&P500。
直近1ヶ月で見れば大型株がより選好され小型株はやや売られる状況です。
5年未満の指数の比較であれば、時価総額の大小によるパフォーマンスに大きな差はありません。
時期によって選好される傾向はあってもやがて歩調を合わせた収斂した形にまとまります。
目先、小型株指数が他の指数に追随して上昇する、もしくはNYダウ平均株価指数、S&P500指数が少し下げる可能性はあるかもしれません。
SPYで見る直近の動向は
書籍「スイングトレードの法則 ──出来高分析で仕掛けがわかる」を参考にマーケットの先行きをSPY(S&P500 ETF)を元に予想します。
インジケーターについて
※細かい説明が不要な場合は、次の見出しまで飛ばしてください。
マクレラン・サメイション・インデックスとプライス・モメンタム・オシレーターを使用します。
2つのインジケーターはTrading Viewにて確認が可能です。インジケーターを導入して自分で見たい場合は”McClellan Summation Index”、”Price Momentum Oscillator”にてインジケーターを検索してみてください。
マクレランオシレーターは「(値上がり銘柄数 – 値下がり銘柄数)の39日指数平滑移動平均 X 10% – (値上がり銘柄数 – 値下がり銘柄数)の39日指数平滑移動平均 X 5%」。マクレラン・サメイション・インデックスは当日のマクレランオシレーターを合計した日々累計。
プライス・モメンタム・オシレーターはROC(変化率)をベースとした指数平滑指標。
2つのインジケーターは共にデフォルト(標準)設定にてチャートを確認します。
SPYから見る米国株の見通しは
1段目がSPYのチャート。
2段目がマクレラン・サメイション・インデックス。
3段目がプライス・モメンタム・オシレーター。
2段目、マクレラン・サメイション・インデックスを見ると現在の数値は160前後です。上昇基調にあるとは言え、やや上昇に陰りが出ています。
直近1ヶ月で見れば、まだ大きく注意したい局面とは判断しません。
今年の傾向としてはマクレラン・サメイション・インデックスがゼロを下回ると、より調整の色合いが高まっています。赤い矢印部分、一日で瞬間的に少し下げる場面も、このマクレラン・サメイション・インデックスがマイナス圏に沈んだ段階で複数回、起きています。
一方で強気の見方としては、S&P500指数は現在、2,582.30ptです。NYダウ平均株価指数は23,422.21ptです。S&P500指数が節目の2,600pt、NYダウ平均株価指数が23,500ptを明確に超えてくるとマーケットはまたしっかりとした上昇基調に戻す可能性が高まるでしょう。